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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「一晩派手にやったと思やあ三百両は安いもの、路銀は早打で取り寄せる。……だが、お千絵様から頼まれた大事な手紙、ありゃ、てめえが別に袷の襟へ縫い込んでいた筈だっけな」

「さ、親分には、そういいつけられていたんですが、つい、紙入れと一緒にしておきましたので……」

「なに」初めて少し色をなして、

「じゃ、お千絵様の手紙も一緒に掏られたのか。ウーム、こいつア大弱りだ」とガックリする。

「もし、親分……」多市はおろおろ、「今度の四国渡りに、あれをなくしちゃ、お千絵様のご実父が生きていたにしろはるばる来た甲斐のねえことは、ぼんくらな多市にも分っております、ドジを踏んだお詫びに、わっしはこれから夜昼なしに江戸へ戻って、もう一度お千絵様から手紙をちょうだいしてきますから、どうか、それで虫をこらえておくんなさいまし」

「オオ、その元気がありゃ何よりのこと。じゃこうしよう、実は関船の便乗もとうとう今日で駄目になっている」

「えっ、阿波入りの御免切手は下りませんか」

「何しろ厳しい馬鹿詮議で、下手をするとこっちの秘密を気取られそうなんだ。そこで俺は、道を代えて讃岐境から、山越えで阿波へ入りこむつもり、一足先に多度津まで延しているから、てめえは早速、お千絵様からもう一通貰ってきてくれ、それが今度の眼目だからな」