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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

町通りを行き過ぎた多市を見かけて、万吉もヒラリと土蔵の蔭を離れた。手紙と交換に阿波入りの事情や甲賀世阿弥の身の上などを探り取ろうという了簡。

「まだこの辺では人目に立つ、も少し淋しい所まで歩かせて、今夜こそ、天王寺で逃げだされたような下手をやらずに……」などと加減をしてゆくうちに、天満岸を真っすぐに、東奉行所の前を抜けて、京橋口のてまえ、八丁余りの松並木――お誂えの淋しさである。

「オーイ、江戸の人」と呼びかけようとしたが、まだ逃げられる惧れがあるので、少しずつ万吉が追い着きだして行くと、しまった! 一足違いに前へ行く多市の影へ、何か、不意にキラリッと青光りの一閃! 横から飛びかかって低く流れた。

「わっッ」と突然、多市の声だ。斬られたと見えて苦しそう、京橋堤をタタタタと逃げ転んできた。と、その影を追い慕って、波を泳いでくるような銀蛇が見えた。無論業刀の切ッ尖である、はッと思うと二の太刀が動いたらしく、途端に、多市は夢中になって天満の川波めがけてザブンと躍り込んでしまった。

「ちぇッ……」という舌打ちが聞こえた。闇を漂よってくる血の香がプーンと面を衝つ。