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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「徳川討てと叫びましたろう」

「無論、浦々軍船の仕立てをなし、城下は甲冑の騎馬武者で埋めたと、今も古老の話でござる。しかし、当時四囲の情勢では、まだ若い幕府の力、所詮、仆すことはできませぬ。恨みをのんだ家中ども、ここにすさまじく結束して、江戸より奥方に従いてきた腰元用人は申すに及ばず、到る所の徳川に縁ある者を隠密と見なし、日ごと夜ごと、これを助任川の河原にだして斬りました。ために、富田の浦は血に赤く、河原は鬼哭啾々として、無残というも愚かなこと、長く、渭之津の城に怪異妖聞やむことを知らず、という結果になりました」

「オオ殺戮の祟り! それで」

「一種の迷信を生じたものか、四、五代目の太守の世より剣山の山牢制度ができたのでござる」

女中や小姓は遠ざけられて、その時、菊の間には阿波守そのほか四人の影だけ……。

白い襖という襖一面、伊藤若冲の描いた乱菊の墨色あざやかに、秋の夜は冷々と冴え更けている。

と……、床わきの書院窓の外へ、スルスルと蜘蛛這いに寄ってきて、ジッと、中の話を聞いていた者があった。

頭は切下げ、無紋の黒着、腰から二本の蝋色鞘がヌッとうしろへ立っている。