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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「いいとも」

一も二もなくのみ込んだ。と――お綱がフイと眼をそらし、ジッと神経を耳に澄ます様子。

悪い所へ、旅川周馬が戻ってきたのではないか、その時、塀の向うに忍びやかに、チャラリ、チャラリ……と雪踏の音。

「周馬だろう!」

万吉は、ペタリと羽目板へ背中をつけてしまった。

そして、逃げ口を探すような眼配りして、

「ちぇッ、悪い所へ帰ってきやがった」

「そうじゃないよ……」お綱は少し身を退いて、半分窓障子の蔭に隠れながら、

「あの足音は別な者らしい……」

「そうですか」と、ホッとしたらしい首をもたげて、「まだ一言話し残りがあるんです。それは、幾ら周馬に押し込められているお千絵様でも、ただ、屋敷から逃げだせといったところで、お綱さんを疑って、出る気づかいはございません」

「それは大きにもっともだね」

「ですから、こういっておくんなさい。――近いうちに法月様が江戸へきて、ぜひいろいろなご相談がある、それには旅川周馬なンて、亀の子だか泥亀だか分らねえ奴の屋敷では工合が悪い――と、ようがすか」

「オオ、それじゃ何かい、弦之丞様もお近いうちに」

「へえ、わっしの後から来る筈なんで」