Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「しゃべらせておくと、きりのねえ奴で恐れ入ります。殊には夜中、とんだお手数を」

「イヤ、どう致して」見ると、若いが地味づくりの男、落ちつきもあるし人品も立派だ。

「そこで、も一ツ、行く先だけを伺いましょう」

久六も、グッと丁寧に改まる。

「的は四国、阿波の御領へ渡ります」

「阿波へ? フーン」少しむずかしい顔をして、

「蜂須賀家では、十年程前から、ばかに他領者の入国を嫌って、よほどの御用筋か、御家中の手引でもなけりゃ、滅多に城下へ入れないという話だが」

「でも、是非の用向きでござりますから」

「そうですか。イヤ、わしがそれまで糺すのは筋目違い。いますぐ宿証を上げますから、それを持って大川南の渡辺すじ、土筆屋和平へお泊りなさい」と、こより紙を一枚剥いで、スラスラと筆をつけだす。

その時その間、何とも怪しい女の影。会所の横の井戸側にしゃがみ込んで、ジッと聞き耳をたてていた。

白い横顔、闇にツイと立ったかと思うと、

「どうも、ありがとう存じました」

中の声と一緒に戸が開いて、さッと明りが流れて来た。途端に、のしお頭巾の女の魔魅、すばやく姿を消している。

「あ、お待ちなさい――」