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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

で、組仲間の者は、そこを符牒に呼んで、「お鏡下」ともまた「おしゃべりの間」ともいっていた。しかし、世間が泰平になるにつれて、ものものしい集合もなく、世阿弥の代になっては、一度も使ったことがない。

その隣はというと。そこは「密見の間」といった跡で、深い企らみをしている旅川周馬は、自分が、この屋敷へ移ると同時に、お千絵と乳母とを、ここへ押しこめて、世間には行方しれずになったと、言いふらしていたのだ。三日に一度、周馬は、鏡下へ縄梯子を下ろして、密見の間をおとずれる。

その日が、お千絵の地獄であった。針の山、血の池へ趁わるるより、なおまだ辛い苛責をうける日なのである。

周馬が責める。

おれの意に従え! 旅川周馬の妻になれ!

ここに伝わる、甲賀流の秘書私財の隠してある所を教えろ!

こういって羅刹のごとく責めさいなむのだ。

「そちが指でも触れれば、千絵はすぐ死にまするぞ――」

お千絵の防ぎは、この一語であった。

周馬はあの通りな横着者である、またお千絵が必ず死のうことも知っている。死なしては玉なしだ。彼はどこまでもジリジリづめに弱らせる策をとった。三日目にきて一責め責めると、あと三日の食べ物をおいて、鏡の裏から抜けだしてゆく。