Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme
だが。
奥の焔が燃えぬけてこないまに、どうして上へ遁れだすことができよう。
さはあれ、ここは、死ぬか生きるかの境。
お綱は、手早く二本のしごきを繋ぎあわせた。
そして、お千絵の体を、高く抱きあげて、断れた数珠縄の端へ、そのしごきを結び足そうとした。
お千絵の白い手が伸びた。生きんとする力かぎり伸びた……。だが、もう二尺――ある、せめて、もう八、九寸、そこへ触れようとして、指が届かぬ。
「お嬢様ッ……」
主思いな乳母のおたみは、ジリジリと背中の熱くなるのをこらえて、狂わしく、声をふりしぼった。
「ま、まだですか! ……早く、ああ、あ熱……早く逃げて下さいまし」
「アア、たみや、駄目ですよ――」
お千絵は、遂に疲れはてて、ガックリとしごきの手を落した。と一緒に、さすがに勝気なお綱も、ムラムラと巻く煙に咽せ、お千絵の体を抱いたまま、
「ちィッ……」
と、糸切歯を咬んで、横に坐りくずれてしまった。
* * *
さて。
やはりその夜のことなのである。
外神田の河岸ッぷちを、風に吹かれてすッ飛んできた、角兵衛獅子の二人の子。
軍鶏の赤毛をお頭にのせて、萌黄木綿のお衣をきせたお獅子の面を、パックリと背中へ引っくり返して、ほお歯の日和下駄をカラカラ鳴らし、