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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

「もう、ざっと一昔だろう。なにしろ、おれが阿波を飛びだしてから、ぶらついているのも七、八年だ」

「では、いまだに御浪人か」

「不思議に食えてゆけるものだから、ツイ、この着流しがやめられねえのよ」

「縮緬ぞっきに雪駄ばきかなんぞで、たいそうりゅうとしているではないか」

「どうして、ふところ手をしている代りにゃ、暮がきても米一粒の的はねえ身だ。なかなか苦労があるンだよ。は、は、は、は……。そりゃそうと、九鬼弥助、森啓之助、あの連中はどうしているな?」

「弥助はこの秋、禅定寺峠という所で、間違いがあって落命いたした。だが、森啓之助の方は、只今お国詰めで相かわらずにやっている」

「そうか――そして貴公は」

「どうして分った?」

「あまり江戸で見かけない、自来也鞘をさしているので、ちょっと、ハテなと目をつけたのよ」

「ウム、なるほど、これは自分でも気がつかずにいたが、そういわれてみれば悪く目立つの」

「目立ったほうがいいじゃねえか。この江戸表という所は、剣術使いは使い手らしく、いい女はいいらしく、何でも人に目立たせなけりゃ損な所だ」

「それでは少し都合が悪い。実は、少しつけ狙っている者があるのだから」