Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

安永頃にはもう江戸は混浴禁止になっている。男のくせに大手を振って、女湯へ入ってくるのは、お上の御威光でもなければできないこと。

無論、それは捕手の一人。

ことによったらという疑念をもって、銭湯をねらってみたが、まさか、自分も裸になって、湯気の中の女を一人一人あらためてみることもできないので、何か、番台のおやじに吹っかけている。

「入ったろう、そんなふうな女が……」

「さア、なにしろこの通り混んでおりますから」

「不注意な奴だ」

「申し訳がございません……ですが、どうぞ流し場でおあらためだけは一つご勘弁を。へい、男湯の方なら、ちッともかまやしませんが、その……ほかのお客様がお気の毒でございます。なんなら、その脱いである着物をごらんくださいまして」

「夜分なので、衣服にはよく覚えがないのだ。では、必ず裏口などから突っ走らぬように気をつけてくれ」

「へい、その辺はよろしゅうございます」

「きッとだぞ」

ツウと外へ出て行った。

湯屋の暖簾を出た男は、左右の路次を向いて、手をさし招いた。ゾロゾロとすぐに十八、九人の人数が集まる。ヒソヒソと耳うちをして、やがてあたりの物蔭へシンと鳴りをひそめてしまう。