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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

輝高は、かの寛永年間に腕の冴えをみせた智慧伊豆、松平信綱の孫にあたる人物である。智慧伊豆の名声に圧せられて、その孫の左京之介輝高には、さしたる聞えもなかったが、今から十一年前、かれが所司代として京都に在職していた当時――宝暦の事変が起った時には、自身、竹内式部をしらべ公卿十七家の処分をして、相当にその手腕をみせたものである。

「おお、今帰ったか」

と、左京之介は、茶をすすりながら、

「当分の間は、なるべく、外出無用であるぞ」

「心得ております。しかし、今日はちと是非ないことで、自身買物に出かけました」

「買物にじゃ? はて、なぜ家来どもにいいつけぬか」

「それが、ちとむずかしい蘭薬の調じ合せをいたしますため、薬名や何かも、自分でなければなりませぬので」

「ほほう、さては、あの病人にのます薬かの」

「御意にございます。所詮、ああまでの状態になりましては、漢薬の利き目おぼつかなく存じますので、実は、今日ふと思いつきました蘭薬の処方を持ち、本町薬種屋町の問屋を一軒ごとに歩きまして、ようよう望みどおりの薬種を揃えてまいりました」

「ふーむ、そちも、かなり博識と聞いたが、医学にまで精通しているとは、今日初めて知った。