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Japanische Klassiker mit Furigana

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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme

Aozora Bunko

オオ恐い、というような気がして、私はお母さんにすがりつくと、そのお侍は、いきなり私の手を取って、見飽かぬように、涙ぐむじゃアありませんか」

磬の音ひとつ洩れないで更けてゆく伽藍の下には、ただ、水底のような夜気があった。

万吉には、今夜のお綱が、十か九ツぐらいな小娘にみえた。おばこか、お煙草盆みたいな髪に結って、母の手にひかれているお綱がそのまま目にうかぶ。

かの女が、幼かりし頃の思い出ばなしに。

「どんなにびっくりしたことか――今でも分るくらいでしたよ」と、お綱は、うッとりとなって、話の息をつぎたした。

「――そして、この観音堂に、お母さんと私を待っていた妙な侍は、ややしばらく、怖がる私の手をとって、ジッと涙ぐんでいましたが、そのうちに、今度は、お母さんに、シンミリと別れの言葉をいいのこして――そうでした――旅へでも立つように、名残を惜しんで、幾度も幾度も振り返りながら、花吹雪の闇の中へ、姿が消えてしまったのです……影絵みたいなそのお侍の姿が行ってしまったのでした」

「ふウむ、そして?」

「それから先は、小さい私は無我夢中、おはぐろ溝の裏店で、お転婆娘に育ってきましたが、お母さんと死に別れた頃から、時々、その影絵のお侍が、妙に思いだされてくるんですよ――、そしてね万吉さん、どうして私のお母さんが、そのお侍と別れる