Japanische Klassiker mit Furigana
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
Lesen Sie 鳴門秘帖(一) (なるとひちょう) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 262.100 Zeichen · 523 Bildschirme
「まあ、もうお別れの場所へきたの。何だかあっけない気がするね」
「なろうことなら、お江戸まで従いてまいりとうございますが、それではお嬢様がお困りでしょうし……」
「ほんとにね、みんな京人形ならいいけれど、お米を食べる虫だから……」
「あら、あんなお憎い口を」
「じゃ、とにかくそこで休みましょうか」
「さアさア、ごゆるりとお支度をなさいませ」
頭の青い男芸者や仲居たちがすぐ駕の屋根からはきものを取ってそろえると、また一方から、ソレお扇子が落ちました、ヤレお裾が砂へつきました、と下へもおかずに藤棚の前の座敷へお迎え申し上げる。
そこではまた、きれいな舞妓や色子たちが、団扇の風を送るやら、吹井の水で手拭を冷やしてくるやら、女が女をとり巻いて、何しろ大したもて方である。
「もうたくさんたくさん――そんなに風を貰っても、江戸のお土産に持ってゆかれるわけでもなし、さアみんなも少し涼んでおくれ」
「はいはい、そんなら私たちも、しばらくここで休ましていただきましょう」
「アアそれがいい。そら、ここまで送ってきてくれたご苦労賃ですよ、仲よく拾って遊んでおいで――」
帯の間からつかみだした金銀を舞妓たちへバラバラと撒いてやる。