Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
やっと落ちついて後を振返ると、土手の眺めがよいのです。花のある時は薄紅の雲が下りているようですし、人が混雑していても、遠くから見ては苦になりません。花を見ながら上下する屋根船もあります。花のない時も、桜若葉が青々と涼しそうに長く続いて、その間に掛茶屋の緋毛氈がちらちらと目に附きます。川には材木を積んだ筏が流れて来たり、よく沈まないことと思うほど盛上げた土船も通ります。下手には吾妻橋を通る人が見えます。橋の欄干に立止って見下している人もあります。そろそろ山の宿の方に近づきますと、綺麗に見える隅田川にも流れ寄る芥などが多く、それでも餌でも漁るのか、鴎が下りて来ます。
岸へ上った辺は花川戸といいました。少し行くと浅草聖天町です。待乳山の曲りくねった坂を登った上に聖天様の社があって、桜の木の下に碑があります。また狭い坂を下りると間もなく、観音様の横手の門へ出ます。その辺にはお数珠屋が並んでいたようです。まず第一にお参りをしようとお母様にいわれて、十八間というお堂へ上ります。大勢の人々に毎日踏まれて、板敷はすっかり減っています。御本尊の安置してある辺は暗くて、灯が沢山附けてはありますが、真黒な格子の奥なのですから、ただ金色に輝いているだけで、はっきりとは分りません。