Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「私には歩けないでしょう。」

そんなことをいい合いました。

やがて家へ近寄りますと、叱られはすまいかとびくびくしていました。裏門口に立っていらしったお母さんは、「あ、お散歩のお供をしたの。よかったね。」

お兄様は家へ這入っておしまいになりました、私は包を、「はい、おみやげ」と出しました。

「何なの。」

「葛餅ですの。」

「まあ、そんな風をしてあそこまで行ったの。あなたまでどこへ行ったかと案じて、さっきからここにいたのだよ。よかったね」と仰しゃいました。

夜食後に四角なのを三角に切って、皆で分けて食べましたが、お父様は、「おれは川崎の大師で食べた事があるよ。そこが本家だといっていた。」

お母様は、「それで思い出しました。亀井戸の葛餅屋は暖簾に川崎屋と染めてありました。柔いからお祖母様も召上れ。」

「有難う。だがこれはお国のと違って黄粉がわるいね。」

またお祖母様のお国自慢と皆笑いました。お兄様はやっと思い出したらしく、「そうだ、遠足して池上の本門寺の傍の古い家で弁当を遣って休んだ時、友達が喜んで食べたっけ。由緒のあるらしい古い家だった。」

何ならぬ品も静かな夜の語り草となったので、お土産に持って来た私はにこにこ笑っておりました。