Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
雷門前では、お父様へのおみやげに、かりん糖や紅梅焼を買います。お父様はお茶をお飲みの時、「ちょっとした菓子よりこの方がよい」と、和三盆を小匙に軽く召上るのですから、おみやげはほんのお愛想です。
それから、浅倉屋へ寄ります。ここは名高い古本屋ですから、小さい子供などに用はないのですが、教科書の取次などもしていましたかしら。店の三方は天井まで棚を造って、和本がぎっしり積上げてあるのを、尊い物のように仰いだ覚えがあります。そこらには人力車が客を待っているので、「乗って行くかい」とおっしゃいますが、「まだ歩けます」といって、吾妻橋を渡ります。その真中に立って見渡しますと、さっき乗った渡舟が上流をゆるゆる漕いで通ります。鴎が幾つか、せわし気に舞っていたりしました。
薬師様の縁日
私たちが向島から千住へ引移ったのは明治十三年でした。移った家には区医出張所という招牌が出してありましたが、それが郡医出張所と変り、ついでまた橘井堂医院となりました。最初はどこからかお医者が出張するのでしたろう。お父様も週に二回ずつ向島から通っていられましたが、あの長い土手をうねうねと、鐘が淵から綾瀬を越して千住まで通うのは、人力車でもかなり時間がかかる上に、雨や風の日には道も案じられるので、やがてお邸の諒解を得て、引移ることになったの