Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

御親類つづきなのでしょうか、若い美しい御後室と幼い姫様とがお住いでした。綾子様、八重子様と申すのですが、皆おあや様、お八重様といいました。父が御診察に伺った時、飾ったお雛様を拝見して来て、「実に見事なものだよ。御願いして置いたから拝見にお出で」ということなので、母と一緒に伺いました。お仮住いなので広くはありませんが、床の間に緋毛氈をかけた一間幅の雛段は、幾段あったでしょうか。幾組かの内裏雛、中には古代の品もありました。種々の京人形や道具類がぎっしり並んでいて、あまり立派なので、私は物もいわずに、ただ見詰めておりました。

「よくこれだけのお品を、お国から傷めずにお持ちになりましたこと。」

「私どもがそこに住んでいましても、蔵の品はいつか知らぬ間に減るばかりで、土地を離れたらどうなるやらと、この子もいる事ですから、こんな手狭なのに送ってもらいました。」

「さぞかしお荷造が大変でございましたでしょう。皆よくわかった人たちばかりで、悪い事などいたしますまいに。」

「いいえ、そうでもございません。或朝ふと気がつきますと、金蒔絵の重箱が、紐で縛って蔵の二階の窓から、途中まで下しかけてありました。