Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
「少しサラダでも召上って御覧になったら」と申しますと、笑って手を振っていらっしゃいます。お人数だけ冷えていい物は附並べて、私はお暇をします。夕食の時におりませんと、老母や主人子供の食事が女中任せになって困るので、会の様子は後に行った時に伺うのでした。
観潮楼歌会のあったのは明治四十年頃でしたが、ちょうどその頃常磐会というのも出来ました。それは前年の夏、兄や賀古氏が、小出、大口、佐佐木氏等を浜町の常磐にお招きして、時代に相応した歌学を研究するために一会を起そうという相談をしたのでした。このことを賀古氏から山県公へ申上げたら、お喜びになって、「力を添えよう」とおっしゃいました。その集りをした因縁で、常磐会という会の名を兄が附けました。
私にはその方が似合わしいからといわれますので、おりおりは出詠しました。最初の題は故郷薄、初雁というのでした。
「何とお詠みになりました」と伺いましたら、四、五首ずつおっしゃいましたが、初雁の方で、「雁今来る」といわれましたから、私は笑って、「それだけで後はなくっても聞えますね」と申しましたら、「ほんとだ」と、大きな声でお笑いになりました。