Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

学士院云々もその頃のことでした。

後の一通は、わざわざお使で私に下すったのです。半襟は新宿御苑の蘭の花を染めた珍しいもので、幾十年を経てすっかり色はあせながら、今も手筥の中にあります。なお粗大な冬瓜とありますのは、全く珍しく見事な物で、親類中に分配していただきました。御養嗣逸人氏は園芸の研究家で、今世にもてはやされる福羽苺というのは同氏の創められたものと聞きました。

唯今私は二番町の親戚の家におりますが、昔伺った二番町の福羽氏の邸宅はどの辺かと尋ねても、知っている人がありません。何しろ半世紀どころか、七十年も前のことですから。

電話

電話は文明の利器ですけれど、私どものように、いつも世に後れた家庭では、それほど利用もしないのでした。主人は、専門が解剖というためもありましょうが、諢名を仙人と呼ばれ、新しいものは真先にという気風ではありませんでしたが、大学教授でしたので、電話は願出れば無償で引いてもらわれたのです。その電話の出来た始めの頃でした。郷里の若い娘の勤口の世話を頼まれましたが、幸いに知人に電話交換局の人があって、そちらへ世話をしてくれました。