Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おうがいのおもいで

鴎外の思い出

小金井 喜美子

Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme

Aozora Bunko

といいます。

「長くかかってもいいではありませんか。お兄様のは一、二年だったけれど、お父様のはよくなったり、悪くなったり、随分時がかかったでしょう。老年になれば誰でもする病気ですから、気を附けて体の調節を図ったら、きっとよくなりますよ。安静にしているのが第一ですから、あまり出歩かぬことですね。」

私はこう書いて見せて、その日は帰りました。

潤三郎の耳の遠いのは昔からです。賀古さんの病院へ通って、代診の内藤さんというのが優しいよい人だったので、それほどでない時にも、よく診てもらったものでした。

大正十一年にお兄様がお亡くなりの時、一週間ほど詰切って、葬儀が済んで帰宅したその晩から大熱を出して、四、五日を夢中で過して、ようよう全快しましたものの、その時から耳は全然聞えなくなりました。精神上の打撃からだと医者はいわれます。それでも端の者が思うほど苦にもせず、元気に書き物をしたり、調べ物をしたりしておりました。いつも紙と鉛筆とを懐に持っていて、それを出しては人に書かせ、自分は口で返事をするのでした。

妻の静子さんは、森の親戚の米原家の人なのですが、その生れた時に、私どものお父様の名の一字を取って、静子と名づけられたのです。