Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがいのおもいで
鴎外の思い出
小金井 喜美子
Lesen Sie 鴎外の思い出 (おうがいのおもいで) von 小金井 喜美子 (こがねいきみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.675 Zeichen · 254 Bildschirme
そんな時兄も相伴をなさいますが、「自分には中串を」と必ずいわれました。あまり好物ではないらしいのです。
牛乳だけはお嫌いのようでした。その頃はまだ手軽にコーヒーも手に入らず、毎朝の出勤前にお飲みになるようにと母がいろいろ苦心をなすって、ブランデーを入れて見たり、砂糖と葡萄酒とを入れたりなすってもあまり召上らず、お出かけの跡に色の附いた牛乳が、お机の傍に手附かずにあるのでした。
弁当の握飯のことはいつも話に出るのですが、毎朝母がそれを作られるのを見ますと、焚き立の御飯を手頃の器に取って、ざっと握って皿に置きます。それに味附けした玉子を入れるのですが、その玉子の中に花鰹を入れます。醤油ばかりで、砂糖は殆んど使いません。玉子はあまり強く炒らずに、前に結んである握飯の間に挟んで結び直します。始めになぜ器に取るかといいますと、熱いのと、一定の量にするためとです。握飯はいつも二つでした。一つには玉子を、今一つにはめそを入れます。めそのことは人があまり知らずに、小魚などといいますが、鰻のごく細いのです。それは肴屋でなくて、八百屋が持って来ました。開いて串に刺して、白焼にしてあるのを辛味に煮て入れますが、いつまでも飽いたといわれませんのは、きっと油濃くないからでしょう。