Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがい・あくたがわ・きくちのれきししょうせつ
鴎外・芥川・菊池の歴史小説
宮本 百合子
Lesen Sie 鴎外・芥川・菊池の歴史小説 (おうがい・あくたがわ・きくちのれきししょうせつ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.337 Zeichen · 24 Bildschirme
歴史に向ってのここの作家的態度は、恐ろしいほど複雑で且つ心理的なものであったから、芥川は、時代の歴史の濤が益々つよく激しく我が身辺にたぎり立ったとき、彼の主観に亡霊のように立ちこめた「何となしの不安」を歴史の眼によって抱きとることも出来ず、克服することも不可能であった。主観は主観の無限地獄を掘り穿って、そこに彼の犀鋭な精神は没入し去ってしまったのであった。
芥川龍之介の歴史に対する態度、それが彼の人及び芸術家としていかなる必然に立っていたかということは、同時代人である菊池寛の歴史的素材を扱った初期の短篇をみると、驚くべき対照をなして愈々明白である。
菊池寛の「忠直卿行状記」以下三十篇ちかい歴史的素材の小説も、やはり歴史小説でないことでは芥川の扱いかたに似ているが、芥川龍之介が知的懐疑、芸術至上の精神、美感、人生的哀感の表現として過去に題材を求めたのとは異って、菊池寛は、自身が日常に感じる生活への判断をテーマとして表現するために歴史上の事柄、人物をとりあげて作品を描いているのである。
「忠直卿行状記」もそのような作品の一つである。作者は、忠直卿という若い激しい性格の封建の主君が、君臣関係のしきたりによって自分がおかれている偽りの世界への憤懣から遂に狂猛な暴君のようになり、隠居とともに天空快闊となった次第を