Japanische Klassiker mit Furigana
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おうがい・あくたがわ・きくちのれきししょうせつ
鴎外・芥川・菊池の歴史小説
宮本 百合子
Lesen Sie 鴎外・芥川・菊池の歴史小説 (おうがい・あくたがわ・きくちのれきししょうせつ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.337 Zeichen · 24 Bildschirme
二十四年後、朝鮮から来た三人の使者のうち喬僉知と名乗っているのが、家康の六十六歳の眼にその朝鮮人こそ正しく佐橋甚五郎と映った。「太い奴、好うも朝鮮人になりすましおった。」そして、怱々にして土地を立たせろと命じた。佐橋甚五郎が小姓だったとき同じ小姓の蜂谷を殺害したそのいきさつも、その償として甲斐の甘利の寝首を掻いた前後のいきさつも、主人である家康の命には決してそむいていないのだが、やりかたに何とも云えぬ冷酷鋭利なところがあって、家康は手放しては使いたくない人物だという危険を感じている。その家康の心を知った佐橋は、「ふんと鼻から息を漏して軽く頷いて」つと座を起って退出したなり逐電したのであった。
岩波文庫本の解説で、斎藤茂吉氏は「甚五郎という人物はやはり鴎外好みの一人と謂って好いであろう」と云っておられるが、鴎外はこの佐橋の生涯の行きかた、それへの家康の忘れない戒心というものを、只、好みの人物という視点から扱ったのだろうか。
阿部彌一右衛門は、人間の性格的相剋を主従という封建の垣のうちに日夜まむきに犇めきとおして遂に、悲劇的終焉を迎えたが、佐橋は君主である家康が己に気を許さぬ本心を知ったとき、恐ろしく冷やかな判断で、そのように狭くやがては己が身の上に落ちかかって来るに相異ない封建の垣を我から一飛びに飛び越し