Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんがり
鷭狩
泉 鏡花
Lesen Sie 鷭狩 (ばんがり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.763 Zeichen · 22 Bildschirme
……しかし御口中ぐらいになさいませんと、これから飛道具を扱います。いえ、第一遠く離れていらっしゃるで、奥方の方で御承知をなさいますまい。はははは、御遠慮なくお先へ。……しかしてその上にゆっくりと。」
階子段に足踏して、
「鷭だよ、鷭だよ、お次の鷭だよ、晩の鷭だよ、月の鷭だよ、深夜の鷭だよ、トンと打つけてトントントンとサ、おっとそいつは水鶏だ、水鶏だ、トントントトン。」と下りて行く。
あとは、しばらく、隣座敷に、火鉢があるまいと思うほど寂寞した。が、お澄のしめやかな声が、何となく雪次郎の胸に響いた。
「黙れ!」
と梁から天井へ、つつぬけにドス声で、
「分った! そうか。三晩つづけて、俺が鷭撃に行って怪我をした夢を見たか。そうか、分った。夢がどうした、そんな事は木片でもない。――俺が汝等の手で面へ溝泥を塗られたのは夢じゃないぞ。この赫と開けた大きな目を見ろい。――よくも汝、溝泥を塗りおったな。――聞えるか、聞えるか。となりの野郎には聞えまいが、このくらいな大声だ。われが耳は打ぬいたろう。どてッ腹へ響いたろう。」
「響いたがどうしたい。」と、雪次郎は鸚鵡がえしで、夜具に凭れて、両の肩を聳やかした。