Japanische Klassiker mit Furigana
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ばんがり
鷭狩
泉 鏡花
Lesen Sie 鷭狩 (ばんがり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.763 Zeichen · 22 Bildschirme
と小がくれて、その中年増がそこに立つ。
「これは憚り……」
「いいえ。」
と、もう縞の小袖をしゃんと端折って、昼夜帯を引掛に結んだが、紅い扱帯のどこかが漆の葉のように、紅にちらめくばかり。もの静な、ひとがらな、おっとりした、顔も下ぶくれで、一重瞼の、すっと涼しいのが、ぽっと湯に染まって、眉の優しい、容子のいい女で、色はただ雪をあざむく。
「しかし、驚きましたよ、まったくの処驚きましたよ。」
と、懐中に突込んで来た、手巾で手を拭くのを見て、
「あれ、貴方……お手拭をと思いましたけれど、唯今お湯へ入りました、私のだものですから。――それに濡れてはおりますし……」
「それは……そいつは是非拝借しましょう。貸して下さい。」
「でも、貴方。」
「いや、結構、是非願います。」
と、うっかりらしく手に持った女の濡手拭を、引手繰るようにぐいと取った。
「まあ。」
「ばけもののする事だと思って下さい。丑満時で、刻限が刻限だから。」
ほぼその人がらも分ったので、遠慮なしに、半調戯うように、手どころか、するすると面を拭いた。湯のぬくもりがまだ残る、木綿も女の膚馴れて、柔かに滑かである。