Japanische Klassiker mit Furigana
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わし
鷲
岡本 綺堂
Lesen Sie 鷲 (わし) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.476 Zeichen · 290 Bildschirme
「なにしろ、たずねてみよう。」
お蝶が乱心者と決まった以上、いずれにしても相当の注意をあたえて置く必要があると思ったので、又次郎は草鞋の爪先をかえて、海ばたの漁師町へむかった。けさから一旦衰えかかった木枯しがまたはげしく吹きおろしてきて、馬の鬣髪のような白い浪が青空の下に大きく跳り狂っていた。尾白の大鷲はこの風に乗って来るのではあるまいかと、又次郎はあるきながら幾たびか空を仰いだ。
「角蔵はいるか。」
表から声をかけると、粗朶の垣のなかで何か張物をしていたお豊は振りむいた。
「あれ、いらっしゃいまし。」
迎い入れられて、又次郎は竹縁に腰をおろした。
「風がすこし凪いだので、角蔵は沖へ出ましたが、また吹出したようでございます。」と、お豊は言った。「いえ、もう、冬の海商売は半休みも同様でございます。」
「お蝶はどうした。」
「さっきお宿へ出ました留守のあいだに、どこへか出まして帰りません。」
果たして案の通りであると、又次郎は思った。
「お蝶はこのごろ達者かな。」と、彼はそれとなく探りを入れた。
「はい。おかげさまで達者でございます。」
「別に変ったこともないか。」