Japanische Klassiker mit Furigana
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まど
鷹野つぎ――人と文学
鷹野 つぎ
Lesen Sie 鷹野つぎ――人と文学 (まど) von 鷹野 つぎ (たかのつぎ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.840 Zeichen · 43 Bildschirme
私は少々おどろいていた。附添婦を頼む用件で来たものと思われるのに、病妹をつかまえて意見をはじめているのは腑に落ちなかった。
すぐ眼の前の相手に聴かせるには高すぎる声で、次兄はまだいくらでも云いつづけて行った。
「この前はじめてお前が病気を出した時、次兄さんがどんなに心配したかおぼえているだろうね。六円五十銭もするソマトーゼを服ませたり、一切五銭もする鯛のさしみをたべさせたり、お前だって忘れはすまい。円座が欲しいと云えばそれも買い、良い布団だってこの次兄さんの方で受持って作ってやったろう。どんな物入りだって構わずに、何んでもしてやったではないか。それだのになんてまあ不養生したもんだ。こんなに悪くなっては情けないではないか」
「………」
「お前が丈夫になって、いい娘になってくれたと思って、あの頃は次兄さんは実にうれしかった。だからアパートの費用だってどんなに出し甲斐があったか知れない。癒ってくれたればこそのたのしみであったというものだ」
電灯がパッと点いた。
とよ子の方からは、一向啜り泣きらしきものも起きてはこなかった。こんなに勘定だかいことを云ってきかせる次兄にも、肉身の温情というものは通っていたものか。