Japanische Klassiker mit Furigana
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おうむぐらかえくびでんせつ
鸚鵡蔵代首伝説
国枝 史郎
Lesen Sie 鸚鵡蔵代首伝説 (おうむぐらかえくびでんせつ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.083 Zeichen · 26 Bildschirme
「では菊弥様、妾もう一度貴郎様にお目にかかることでしょうよ。……そうして一度は、その愛くるしい……」
「斬るぞ!」
キラリと白い光が、新酒のように漲っている夕陽の中に走った。菊弥が三寸ほど抜いたのである。とたんに、女は走って、二人を蔽うようにして繁っている、背後の樺の林の中へ走り込んだ。でも、そこから振り返ると、
「醒ヶ井のお綱は、やるといったこときっとやるってこと、菊弥様、覚えておいで」
婢に案内され、薄暗い部屋から部屋、廊下から廊下へと、菊弥は歩いて行った。
「このお部屋に奥様はお居ででございます」と云いすてて、婢が立ち去った時、菊弥は、古びた襖の前に立っていた。
菊弥は妙に躊躇されて、早速には襖があけられなかった。姉とはいっても、嬰児の時代に別れて、その後一度も逢ったことのない姉のお篠であった。
(どんな人だろう?)という懸念が先立って、懐しいという感情は起こらなかった。
(いつ迄立っていても仕方がない)
こう思って菊弥は襖を開けた。
しばらく部屋の中を見廻していた菊弥は、「あッ」と叫ぶとベッタリ襖を背にして坐ってしまった。
この部屋は、宏大な納谷家の主家の、ずっと奥にあり、四方を他の部屋で包まれており、それに襖が閉めきってあるためか、昼だというのに、黄昏のように暗かった。