Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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むぎわらぼうし

麦藁帽子

山本 周五郎

Lesen Sie 麦藁帽子 (むぎわらぼうし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.888 Zeichen · 14 Bildschirme

Aozora Bunko

裾廻りの派手な色が、娘の淋しい顔だちをひどく阿娜に彩り、もう躯つきがすっかり女になりきって、肩や腰の肉づきは驚くほど豊かだった。

その二三日前にひどい時化があって、村の漁舟のうち沖へ出たまま帰らぬものが四五艘あった。それで村の人たちはいずれも岬のはなへ詰めかけ、夜になると篝を焚きあげて帰らぬ舟を待っていた。それらの中に娘の婚家の持舟が一艘交っていたので、彼女もそこへでかけて来たのであろう、――彼もまたようすを知るために岬へ行こうとしていた、その途中でふたりは出会ったのである。

彼はしるしの松(漁舟が帰港するとき目印にするもの)のところまで来たとき、茫の中をこちらへやってくる彼女をみつけた。女のほうでは彼より先に気付いていたらしく、彼が眼を向けると頬を赧くしながら遠くから会釈を送った。彼はちらと前後を見廻したが、松林の中にも茫の原のかなたにも人影はなかった。ふたりは近々と歩み寄って足を停めた、女はふと裾を端折っているのに気付き、恥かしそうにしなをつくりながら急いでそれをおろした。

――お宅の舟は帰ったか。

彼が訊いた。すると女は悲しげな眼をあげて彼を見上げながら頭を振った。