Japanische Klassiker mit Furigana
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むぎわらぼうし
麦藁帽子
山本 周五郎
Lesen Sie 麦藁帽子 (むぎわらぼうし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.888 Zeichen · 14 Bildschirme
「ほほほほ」
女中は可笑しそうに笑った。
「それじゃお客様も吾八の嘘にひっかかりなすったんですよ、自分は村一番の旧家の主人だって云いましたでしょう」
「なんでもそんなことだった」
「それから自分の嫁になるはずの娘があって、よそへ片付いたとか、かぶっている麦藁帽子はその娘がくれた物だとか云ったでしょう、――嘘ですわ、みんな作りごとですわ」
「嘘かい」
斧田は苦笑しながら盃を取上げた。女中は酒の酌をしながら話しだした。
その老人、――吾八は、子供の時分に父親と二人でこの村へ流れて来た男であった。父親というのがひどい酒精中毒で、村へ来ると間もなくほとんどのたれ死のようにして死んだのち、そのころ村長をしていた佐野源七という旧家に引取られて育った。松屋敷というのはその佐野源七の家のことである。
吾八はすなおに成長した。気だてのやさしい頭の良い子供で、村人たちは彼の怒ったり泣いたりした顔を見たことがなかった。佐野源七に絹子という娘がいて、吾八より四つ年下だったが、屋敷うちの誰よりも吾八になつき、朝も晩も彼でなくてはすまぬほど親しみ馴れていた。
松屋敷には広い庭があって、神戸の森と地続きのところが柿畑になっていた。