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Japanische Klassiker mit Furigana

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さとう

麻布襍記 ――附・自選荷風百句

永井 荷風

Lesen Sie 麻布襍記 ――附・自選荷風百句 (さとう) von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 37.256 Zeichen · 77 Bildschirme

Aozora Bunko

○

義理とふんどしは欠かされぬとは昔の人の言いし事なり。西鶴が浮世草紙の挿絵には銭湯に入るにもふんどしを締めたり。メリヤスの猿股は支那人の犢鼻褌に同じきものなれど西洋にては婦人月経中に用ゆるのみにて男子の穿つものならずという。洋服着るには股引だけにて六尺もいらず越中もいらず。犢鼻褌無用の世となれば義理も大に欠いて然るべし。義理とは何ぞや。歳暮新春の進物はいうに及ばず人の家に冠婚葬祭の事あれば必ず物を贈答することなり。学生クラス会を催せば車夫も新年会忘年会を開く。知友の去る毎に送別会あり還り来る毎に歓迎会あり。其他慰労会といい懇談会といい委員会といい義理の宴会挙げ来れば尽る時なし。芝居の総見物は一名これを義理見という。当世の人犢鼻褌を欠きながら何ぞかくは義理を重んずる事の甚しきや。

余輩も亦当世の人なり。日常洋服を着るが故に犢鼻褌をしめず。犢鼻褌をしめざるが故に義理をかく事屁とも思わず。往復葉書にて宴会の通知に接すること毎月多きは十数回に及ぶ事あれども決して返事を出さず。返信用の片ひらはこれを猫婆にして経済の一端となせり。また会費の金額は仮に出席したるものとなしてこれを貯金箱に入れ置けば一年に少くとも二三百円を得。