Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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てらだとらひこ

黄道

和辻 哲郎

Lesen Sie 黄道 (てらだとらひこ) von 和辻 哲郎 (わつじてつろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 28.971 Zeichen · 59 Bildschirme

Aozora Bunko

火は大丈夫かときくと台所に火はないと言う。がこのときにはまだ大火が起こるだろうということは頭になかった。まず思い出したのは桜島の爆発当時宮崎県にいた人からきいた話である。あのときは一月ほども野宿したという、今度もこの工合では一月ぐらいは野宿しなくてはなるまい、大変なことになった、と思った。

大砲のような大きい爆音が三度ほど最初に南の方で聞こえたのは、たしかこの時分であったと思う。自分にはそれが何かの合図のように思えた。あとで考え合わせるとそれはどこかの薬品の爆発であったらしいが、そのときには薬品の爆発というようなことは我々の頭になかった。

二度目の揺れがやや鎮まってから、自分はこわごわ家に近づいて、下駄や傘を取り出した。この日は朝の内は風雨であったが、ひる前から雨があがって、このころには空が晴れわたり日光が激しく照りつけた。その焼けつくような暑さが、最初の驚きの鎮まると共にようやく感ぜられて来たのである。三度目にひどく揺れたときには、動いている茄子畑の波動のしかたを興味深く観察するほどの心の余裕が出て来た。家はもう倒れそうにない。当分の野宿も覚悟がついた。