Japanische Klassiker mit Furigana
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こうちょうのなげき
黄鳥の嘆き
甲賀 三郎
Lesen Sie 黄鳥の嘆き (こうちょうのなげき) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.792 Zeichen · 82 Bildschirme
「遺書はなかったのでしょうか」
野村が訊くと、重武は眉をひそめて、
「えゝ、遺書らしいものは少しも見当らないんですよ」
「それは変ですね」
「全く。頭がどうかしていたんじゃないかと思われるんですが」
野村はふと思いついて、
「そういえば、例の雪渓の発掘ですね。あれはどういう目的だったか、あなたはご存じありませんか」
「分りません。私はやっぱり頭が変になった所為じゃないかと思っているんですが――」
「でも、何か目的があったんでしょうね」
「本人にはあったのでしょうね。然し、どうも正気の考えじゃありませんな」
「雪の中に何か埋れてゞもいるような事を考えたのでしょうか」
重武はチラリと探るように野村の顔を見て、
「さあ」
「何か妄想を抱いたのでしょうね」
「えゝ、それに違いありません」
「乗鞍岳なんて、どこから考えついたのでしょう。むろん二川君は行った事はないと思いますが」
「地図を拡げて思いついたのでしょうよ。あれは山と名のついた所へ行った事はありませんよ」
「そういえば」野村は又ふと思いついて、「あなたは若い頃旅行家だったそうですね」
「えゝ、旅行家というほどじゃありません。放浪ですな」