Japanische Klassiker mit Furigana
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こうちょうのなげき
黄鳥の嘆き
甲賀 三郎
Lesen Sie 黄鳥の嘆き (こうちょうのなげき) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 40.792 Zeichen · 82 Bildschirme
一昨日初めて来られた方で、今日お出にならない方が」
「何という人ですか」
「えゝと、確か野村儀造と仰有いました」
「えッ」野村は飛上った。
もう疑う余地はないのだ。重武は変装して、人もあろうに野村の父の名を騙って、太田医院で診察を受け、薬を貰う風をして、薬局の窓口にいて、二川さんといって看護婦が差出して台の上に置いた薬を、素早く毒薬とスリ替えて終ったのだ!
だが――野村は帰り途で、低く頭を垂れながら考えるのだった。――太田医師と看護婦は果して、野村儀造と名乗った男を二川重武に違いないと証明するだろうか。重武はむろん否定するだろう。又仮りにそれが認められたとして、窓口で薬をスリ替えた事実が認められるだろうか。むろん重武は絶対に否認するに極っているのだ。偽名して診察を受けた事は不利ではあるが、それが何か恥かしい病気であれば、大して非難も出来ない事ではないか。それに彼が今日診察を受けに来ないのは、当然なのだ。彼は二川家で忙しく采配を振っているのだ。
検事局は告発は受理して呉れるとしても、果して検挙するだろうか。検挙しても起訴出来るだろうか。
野村には重武の罪が明々白々のように思われた。