Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

くろいてちょう

黒い手帳

久生 十蘭

Lesen Sie 黒い手帳 (くろいてちょう) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.026 Zeichen · 38 Bildschirme

Aozora Bunko

一、それからまた三日ほどしてから、なにかの用事で夫婦のところへ行くと、発育不良の子供面が待ちかまえてでもいたようにいそいそと椅子から立ってきた。

「喜んでください。ぼくたちは餓死しないでもすみそうですよ。いやひょっとすると大金持になるかも知れないんです。まアこれを読んでごらんなさい」

いわば、喜色満面といった風情で、前日の夕刊をさしつけてよこした。なんにしても結構な話にちがいないから、それはよかったといいながら、指されたところを読んでみると「モンテカルロの大勝」という標題の下に、ウィンナムという英国の婦人が一夜のうちに二十万法勝ちあげ、モンテ・カルロ海浜倶楽部がその婦人に祝品を贈呈したとか贈呈するところだとか、そういった埓もない記事が載っていた。

夫のほうは悪いグロッグでも飲みすぎたようなしどろもどろの口調で「どうです。凄いじゃありませんか。一と晩に二十万法! ともかく最近モンテ・カルロはつづけざまにやられているんですよ。先週も三人組の独逸人に百万法近くやられて、三日の期限付でモナコ公国にモラトリアムが出たばかりのところなんです。それでぼくはちょっとしたシステムを知っているから、最後の千法を賭金にして一と旗あげてみるつもりなんです。