Japanische Klassiker mit Furigana
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くろいはたものがたり
黒い旗物語
小川 未明
Lesen Sie 黒い旗物語 (くろいはたものがたり) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.583 Zeichen · 10 Bildschirme
「やかましい、あっちへゆけ。」
と、どなるものもあれば、また家の内から、大きな声で、
「出ないぞ。」
といったものもありました。
こうして二人のものは、終日この町の中をむなしく歩きまわって、疲れて空腹を感じて、日暮れ方になると、どこへともなく帰ってゆくのでした。爺の歩きながら弾く胡弓の音は、寒い北風に送られて、だんだんと遠くに消えてゆくのでありました。こんなふうに町の人々には、この二人の乞食を情けなく取り扱いましたけれど、やはりどんなに風の吹く日も、また寒い日にでも、二人はこの町へやってきました。
町の人々は二人を見送って、
「まだあの乞食がこの辺りをうろついている。早くどこへなりとゆきそうなものだ。犬にでもかまれればいいのだ。」
と、涙のない残忍なことをいったものもあります。
そして爺と子供は、犬に追い駆けられてひどいめにあわされたこともありました。そのとき町の人々は、子供が泣きながら爺さんの手を引いて逃げようとして、爺さんが胡弓を振りあげて犬をおどしている有り様を見ても黙っていました。ある日町の人は二人を捕らえて、
「おまえらは、どこからきたのだ。」
といって聞きました。