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Japanische Klassiker mit Furigana

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くろねことみ

黒猫十三

大倉 燁子

Lesen Sie 黒猫十三 (くろねことみ) von 大倉 燁子 (おおくらてるこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.366 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

その拍子にぐにゃりと柔かいが、しかし弾力のあるあたかも護謨の如きものの上に、両掌と膝頭とを突いたのだった。

「何だろう?」

手探りでそッと撫で廻してみると、異様な感じがする。冷ッこいがすべすべした、まるで人肌だ。

生憎ルームの電燈が消えているので、車内は暗くって、硝子窓から、時折さし込む街燈の灯も、シートの下までは届かなかった。

「君、ちょっと、電気を点けてくれないか」

運転手は答えない。風雨に声を奪われて、聞えないものと見える。

「チョッ」

本庄は舌打ちしながらポケットを探り、マッチを擦った。と同時に、彼はマッチを放り出し、シートの上に尻餅をついてしまった。

人形? いや人だ、若い女だ。しかもそれが死んでいるのだ。余りの驚愕に全身凍ったようになって、叫び声すら咽喉を出なかった。ただ、はッと思っただけだった。次の瞬間には眼がくらくらとして、何も分らなくなった。体は妙に硬直って身動きさえ自由にならないのに、膝頭だけががくがくと震えて起ち上る力さえぬけてしまった。血生臭い香がプンと鼻をうつ。

軈て、少しく気が落ち付いてくると、恐いもの見度さに、もう一度マッチを擦って、蹲踞み込み、今度はようく見た。