Japanische Klassiker mit Furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme
だから世の中は面白いものだよ。滝さん、お前さんの目つきと、その心なら、ここにある印は不残お前さんの手下になります、頼もしいじゃあないか。」
「うむ、」といって、重瞳異相の悪少は眠くないその左の目を擦った。
「加州は百万石の城下だからまた面白い事もあろう、素晴しい事が始まったら風の便にお聞きなさいよ。それじゃあ、あの随分ねえ。」
「気をつけて行きねえ。」
「あい、」
「………」
「おさらばだよ。」
その効々しい、きりりとして裾短に、繻子の帯を引結んで、低下駄を穿いた、商売ものの銀流を一包にして桐油合羽を小さく畳んで掛けて、浅葱の切で胴中を結えた風呂敷包を手に提げて、片手に蝙蝠傘を持った後姿。飄然として橋を渡り去ったが、やがて中ほどでちょっと振返って、滝太郎を見返って、そのまま片褄を取って引上げた、白い太脛が見えると思うと、朝靄の中に見えなくなった。
やがて、夜が明け放れた時、お兼は新庄の山の頂を越えた、その時は、裾を紮げ、荷を担ぎ、蝙蝠傘をさして、木賃宿から出たらしい貧しげな旅の客。破毛布を纏ったり、頬被で顔を隠したり、中には汚れた洋服を着たのなどがあった、四五人と道連になって、笑いさざめき興ずる体で、高岡を指して峠を下りたとのことである。