Japanische Klassiker mit Furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme
そして乗られなかったら曳いて行くさ。だからちったア馬に乗ることも心懸けておくこッた、女にかかり合っているばかりが芸じゃあねえぜ。どうだ、色男。」と高慢なことを罪もなくいって、滝太郎は微笑んだ。
「失敬な。」も口の裡で、島野は顔を見らるると極悪そうに四辺をきょろきょろ。茶店の女は、目の前にほっかりと黒毛の駒が汗ばんで立ってるのを憚って、密と洋盃を齎らした。右手をのべて滝太郎が受ける時、駒は鬣を颯と振った。あれと吃驚して女は後へ。若君は轡を鳴らして、しっかと取りつつ、冷水の洋盃を長く差伸べて、盆に返し、
「沢山だ。おい、可いか、島野、預けるぜ。」
屹と向直って、早く手綱を棄てようとする。島野は狼狽えて両手を上げて、
「若様どうぞ、そりゃ平に、」とばかり、荒馬を一頭背負わされて、庄司重忠にあらざるよりは、誰かこれを驚かざるべき。見得も外聞も無しに恐れ入り、
「平に御容赦てッたような訳なんです。へい、全く不可ません。それにちっと待合わせるものもあるんでございますから。」
と窮したる笑顔を造って、渠はほとんど哀を乞う。
滝太郎は黙って頷くと斉しく、駒の鼻頭を引廻らした。