Japanische Klassiker mit Furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme
、左で足太鼓を打つ腕白さ。
「取っておいて下さいな。」
まるで知らなかったのでもないかして、
「いりやしねえよ。さあ、とうとう蟻を食っちゃった、見ねえ、おい。」
勇美子は引手繰られるように一膝出て、わずかに敷居に乗らないばかり。
「よう、おしまいなさいよ。」といったが、端なくも見えて、急き込む調子。
「欲かアありませんぜ。」
「お厭。」
「それにゃ及ばないや。」
「それではお礼としないで、あの、こうしましょうか、御褒美。」と莞爾する。
「生意気を言っていら、」
滝太郎は半ば身を起して腰をかけて言い棄てた。勇美子は返すべき言葉もなく、少年の顔を見るでもなく、モウセンゴケに並べてある贈物を見るでもなく、目の遣り処に困った風情。年上の澄ました中にも、仇気なさが見えて愛々しい。顔を少し赤らめながら、
「ただ上げては失礼ね、千破矢さん、その指環。」
「え、」と思わず手を返した、滝太郎の指にも黄金の一条の環が嵌っている。
「取替ッこにしましょうか。」
「これをかい。」
「はあ、」
勇美子は快活に思い切った物言いである。
滝太郎は目を円にして、
「不可え。こりゃ、」
「それでは、ただ下さいな。