Japanische Klassiker mit Furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme
のを、奈落の底で聞くような思いをしながら、理学士は恐しい夢を見た。
こはいかに! 乾坤別有天。いずこともなく、天麗かに晴れて、黄昏か、朝か、気清しくして、仲秋のごとく澄渡った空に、日も月の形も見えない、たとえば深山にして人跡の絶えたる処と思うに、東西も分かず一筋およそ十四五町の間、雪のごとく、霞のごとく敷詰めた白い花。と見ると卯の花のようで、よく山奥の溪間、流に添うて群生ずる、のりうつぎ(サビタの一種)であることを認めた
時にそよとの風もなく、花はただ静かに咲満ちて、真白な中に、ここかしこ二ツ三ツ岩があった。その岩の辺りで、折々花が揺れて、さらさらと靡くのは、下を流るる水の瀬が絡まるのであろう、一鳥声せず。
理学士は、それともなく石滝の奥ではないかと、ふと心着いて恍惚となる処へ、吹落す疾風一陣。蒼空の半を蔽うた黒い鳥、片翼およそ一間余りもあろうと思う鷲が、旋風を起して輪になって、ばッと落して、そのうつぎの花に翼を触れたと見ると、あッという人の叫声。途端に飜って舞上った時に、粉吹雪のごとくむらむらと散って立つ花片の中から、すっくと顕れた一個の美少年があった。