Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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くろゆり

黒百合

泉 鏡花

Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme

Aozora Bunko

ふん、結構なことさね、ふん、」

と呼吸がはずむ。

「ほんとうでございますか。」

「まったくよ。」

「あら、それでは、あの私は御免蒙りますよ。」

お雪は思切って立停まった、短くさし込んだ胸の扇もきりりとする。

「御免蒙るッて、来ないつもりか。おい、お嬢様が御用があるッて、僕がわざわざ迎に来たんだが、御免蒙る、ふん、それで可いのか。――御免蒙る――」

「それでも、おなぶり遊ばすんですもの、私は辛うございます。」

「可いさ、来なけりゃ可いさ、そのかわり、お前、知事様のお邸とは縁切だよ。宜かろう、毎日の米の代といっても差支えない、大切なお花主を無くする上に、この間から相談のある、黒百合の話も徒為になりやしないかね。仏蘭西の友達に贈るのならばって、奥様も張込んで、勇美さんの小遣にうんと足して、ものの百円ぐらいは出そうという、お前その金子は生命がけでも欲いのだろう、どうだね、やっぱり御免を蒙りまするかね。」といって、にやにやと笑いけり。

お雪は深い溜息して、

「困っちまいました、私はもうどうしたら可いのでございましょうねえ。」

詮方なげに見えて島野に縋るようにいった。お雪は止むことを得ず、その懐に入って救われんとしたのであろう。