Japanische Klassiker mit Furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme
多磨太、大得意。
「何よ、また道寄も遣らかすわい。向うが空屋で両隣は畠だ、聾の婆が留守をしとる、ちっとも気遣はいらんのじゃ、万事私が心得た。」
「驚いたね。」
「どうじゃ、恐入ったか。うむ、好事魔多し、月に村雲じゃろ。はははは、感多少かい、先生。」
「何もその、だからそういったじゃアありませんか。君、僕だけは格別で。」
「豈しからん、この美肉をよ、貴様一人で賞翫してみい、たちまち食傷して生命に係るぞ。じゃから私が注意して、あらかじめ後を尾けて、好意一足の藁草履を齎らし来った訳じゃ、感謝して可いな。」
島野は苦々しい顔色で、
「奢ります、いずれ奢るから、まあ、君、君だって、分ってましょう。それ、だから奢りますよ、奢りますよ。」
「豚肉は不可ぞ。」
「ええ、もうずっとそこン処はね。」
「何、貴様のずっとはずっと見当が違うわい。そのいわゆるずっとというのは軍鶏なんじゃろ、しからずんば鰻か。」
「はあ、何でも、」と頷くのを、見向もしないで。
「非ず、私が欲する処はの、熊にあらず、羆にあらず、牛豚、軍鶏にあらず、鰻にあらず。」
「おやおや、」
「小羊の肉よ!」
「何ですって、」
「どうだ、、蟷螂、」