Japanische Klassiker mit Furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme
人の中を這出して、片息になってお前、本尊の前へにじり出て、台に乗っけて小さな堂を据えてよ、錦の帳を棒の尖で上げたり下げたりして、その度にわッと唸らせちゃあ、うんと御賽銭をせしめてやがる。そのお前、前へ伸上って、帳の中を覗こうとした媼があったさ。汝血迷ったかといって、役僧め、媼を取って突飛ばすと、人の天窓の上へ尻餅を搗いた。あれ引摺出せと講中、肩衣で三方にお捻を積んで、ずらりと並んでいやがったが、七八人一時に立上がる。忌々しい、可哀そうに老人をと思って癪に障ったから、おいらあな、」
活気は少年の満面に溢れて、蒼然たる暗がりの可恐しい響の中に、灯はやや一条の光を放つ。
三十七
「晩方で薄暗かったし、鼻と鼻と打つかっても誰だか分らねえような群衆だから難かしいこたあねえ。一番驚かしてやろうと思って、お前、真直に出た。いきなり突立って、その仏像を帳の中から引出したんだから乱暴なこたあ乱暴よ。媼やゆっくり拝みねえッて、掴みかかった坊主を一人引捻って転めらせたのに、片膝を着いて、差つけて見せてやった。どうして耐ったもんじゃあねえ。戦争の最中に支那が小児を殺したってあんな騒をしやあしまい。