Japanische Klassiker mit Furigana
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くろゆり
黒百合
泉 鏡花
Lesen Sie 黒百合 (くろゆり) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.148 Zeichen · 154 Bildschirme
四十
「もう夜明だ、姉や、分ったい、うむ、早く出よう。そして、おいらもう、この穴へは入るまい。」
滝太郎は決然として答えた。お兼は嬉しげに手を取って、
「滝さん、それでこそお前さんだ、ああ、富山じゃあ良い事をした、お庇様で発程栄がする。」
「お前、もうちっとこっちに居てくんねえな。おいら勝手に好な真似はしてるけれど、友達も何もありゃしないやな。本当は心細くッて、一向詰らないんだぜ。」
「気の弱いことをいうもんじゃあない、私はこれから加州へ行って、少し心当があるんだし、あそこへは先へ行って待合わせている者がある。そうしちゃあいられないんだから、また逢おうよ。そしてお前さんの話をして、仲間の者を喜ばせよう。何の、味方にしようと思えば、こっちのものなんざ皆味方さ。不残敵になったって難かしい事はないのだもの。」
「うむ、そんならそうよ。」と頷いて身を開いた、滝太郎は今森として響も止んだ洞穴の中に耳を澄したが、見る見る顔の色が動いて、目が光った。
「や、山の上で蜩が鳴かあ、ちょッ、あいつが二三度鳴くと、直ぐに起きやあがる。花屋の女は早起だ、半日ここに居て耐るもんかい。