Japanische Klassiker mit Furigana
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はなのひょうげん
鼻の表現
夢野 久作
Lesen Sie 鼻の表現 (はなのひょうげん) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.303 Zeichen · 141 Bildschirme
この言葉は又法廷の全部をどよめかすに充分でありました。検事が真先に被告の無罪を主張するという事も空前絶後の一つに数えられたからであります。しかも後半の議論に依って、犢の神が果してダメス王の鼻の弁護をしているものか、していないものかがわからなくなってしまいました。これこそ世界最初の詭弁ではあるまいかと、益一同の耳を引っ立てさせたのであります。
「ダメス王の鼻の無罪を主張する理由は、左の三ヶ条に尽きております。
第一には、王の鼻が何等かの理由無しに王の顔の真中に存在する筈がないのであります。眼や口なぞいう動的表現役者の真中に取り囲まれながら、悠然として静的表現を守っていられる筈はない。矢張り何等かの動的表現の使命を持っているものと認められなければなりません。
第二には、鼻という言葉を用いなければ説明の出来ない表現が沢山に存在する事であります。便宜上だけでもよろしい。鼻という文字を使わなければ受け取れない表現の形容が頗る多いので、どうしても鼻の動的表現を認めなければならぬ事になるのであります。
第三には、錯覚でも何でもよろしい、鼻というものの動的表現の可能性を認めなければ、社会風教上その他万事につけて不都合なのであります。