Clásicos japoneses con furigana
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おせん
おせん
邦枝 完二
Lee おせん de 邦枝 完二 (くにえだかんじ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 74.074 caracteres · 148 pantallas
縁起でもないことだが、ゆうべわたしは、上下の歯が一本残らず、脱けてしまった夢を見ました。情ないが、所詮太夫は助かるまい」
羽左衛門はそういって、寂しそうに眉をひそめた。
五
夢から夢を辿りながら、更に夢の世界をさ迷い続けていた菊之丞は、ふと、夏の軒端につり残されていた風鈴の音に、重い眼を開けてあたりを見廻した。
医者の玄庵をはじめ、妻のおむら、座元の羽左衛門、三五郎、彦三郎、その他の人達が、ぐるりと枕許に車座になって、何かひそひそと語り合っている声が、遠い国の出来事のように聞えていた。
「おお、あなた。――」
最初におむらが、声をかけた。が、菊之丞の心には、声の主が誰であるのか、まだはっきり映らなかったのであろう。きょろりと一度見廻したきり、再び眼を閉じてしまった。
玄庵は徐かに手を振った。
「どなたもお静かに。――」
「はい」
急に水を打ったような静けさに還った部屋の中には、ただ香のかおりが、低く這っているばかりであった。
玄庵は、夜着の下へ手を入れて、かるく菊之丞の手首を掴んだまま首をひねった。
「先生、如何でございます」
「脈に力が出たようじゃが。