Clásicos japoneses con furigana
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おじょろうぐも
お女郎蜘蛛
宮本 百合子
Lee お女郎蜘蛛 (おじょろうぐも) de 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 12.913 caracteres · 26 pantallas
御龍のなめらかなひやっこいきめの間から段々自分の命を短くする毒気が立って居るらしく思われそのまっくらな森の様な気のする髪の中には蛇が沢山住んで居やしまいかと男は思った。
「私は御前を知らない方がきっと幸福だったろうネ又お前だってそうだったかも知れない……」
「幸福だの不幸だのってそんな事わたしゃ考えてませんわ。私は天からこうときまって生れて来たんだと思ってますもの、私は自分の力を信じてるんですもの……」
「アアほんとうにお前はけしの花の様な女だ」
「私自身でもそう生れついて来たのをよろこんでますわ」
女は男の心の中に自分の毒を吹き込む様にホッと深い息を吐いた。
二人の間に長い沈黙がつづいた。二人の心ははなればなれに手ん手に勝手なことを考えて居た。
「私はもう帰る」
男は思い出した様に立ち上って上んまえをひっぱった。
「そう――」
女は別にとめる様子もせず玄関まで男の後について行った。
「又今度」
小さな声で男が云ったのに女はただ青白い笑を投げただけだった。
その笑が男には忘られないものの一つだった。しずかな中に女は体を存分にされないで男を自由にすることの出来る自分の力に謝してうす笑をした。