Clásicos japoneses con furigana
ja-reading.com
Lee clásicos japoneses en línea con furigana. Filtra por nivel JLPT, toca una palabra para ver el significado y traduce una frase.
さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lee さぶ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 210.521 caracteres · 415 pantallas
けれども、彼は自分で気づいていた。かれらに復讐しようという気持は、いまではずっと弱まっている。人間の一生が一枚の金襴の切で左右されてはならない、と思い当ったころからであろうか、自分の受けた屈辱や暴行の事実を、いちいち詳しく思いだしてみても、以前のように逆上するほどの怒りは感じられなくなった。
――いまに必ず思い知らせてやるぞ。
そういう誓いは、かつて栄二を強く支えていたものだ。復讐という執念がなければ、自分は死んでしまうだろう、とさえ思ったくらいである。それがいまではべつのものと入れ変ったようだ。――あのまま芳古堂を勤めあげ、自分の店を持っておすえと夫婦になり、平穏なくらしをするようになったとしたらどうだろう。こう想像してみると、いまの彼には却ってうとましい空虚なものにしか思えない。――ここへ来てからの四百日に比べれば、そういう生活はなんのあじわいもなく、平凡でつまらない、退屈そのもののように感じられる。たしかに、栄二の内部ではなにかが入れ変ったか、入れ変りつつあるようであった。
それから二日のち、二十一日の休みに、八人の無宿者が送られて来、そのうち三人がもっこ部屋へまわされた。