Clásicos japoneses con furigana
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
Lee さぶ de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.
N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 210.521 caracteres · 415 pantallas
返辞がして、障子があいた。栄二も軒先では濡れるので、やむを得ず狭い土間へはいった。障子をあけたのは十六か七になる娘で、さぶを見ると大きく眼をみはった。
「まあ珍しい」娘はうきうきと云った、「よくいらしったわね、――お伴れさまですか」
「ああ」さぶはぶきようなあいまいさで笑った、「夕立になったんでね、ちょっとうちへ寄ってあまやみをしようと思ったんだよ」
「鍵ですか」と云って立とうとしたが、娘は膝をついたままさぶと栄二を見た、「あまやどりならここでもいいでしょ、あちらは閉めっきりでかび臭いでしょうから」
「でも、ご病人に悪いからね」
「父にご遠慮はいりません、いまお茶でも淹れますから」と云って娘は栄二にも頬笑みかけた、「あなたもどうぞ、ちょっとお掛け下さいまし」
栄二は黙って会釈をし、娘は立っていった。
「ここにいたときの知合いなんだ」さぶは囁いた、「もとお侍だったそうでね、親御さんは長く寝たっきり、おせえちゃんていういまの娘さんが、内職をして養ってるんだ」
「どうりで、人柄が違うと思ったよ」
そう云いながら栄二は、さぶを見たときの娘の、吃驚したように大きくみはったすずしい眼や、話しかける口ぶりのうきうきした調子などが、さぶに対する娘の感情を、あからさまにあらわしているように思えた。