Lectura en japonés

Clásicos japoneses con furigana

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ちくしょうだに

ちくしょう谷

山本 周五郎

Lee ちくしょう谷 (ちくしょうだに) de 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) en japonés con furigana. JLPT N2. Toca una palabra para ver el significado.

N2 · avanzado · kanji y kana modernos · 69.788 caracteres · 138 pantallas

Aozora Bunko

「放火だと思います」

「中で女の声がしました」と乾が云った、「倉へはいって火をつけたのでしょう、気がついたときはもう手がつけられないありさまで、中から女の声が聞えて来ました」

隼人はきっと下唇を噛んだ。

――鍵を掛け忘れた。

昨日あの綱を出したとき、役所へ運んでおけと云ったまま、戸前の鍵を掛け忘れた、と隼人は思った。そして、中から女の声がした、という言葉に気づき、どきっとして、われ知らず西沢半四郎の顔を見た。

「それで、女はどうした」

「知りません」西沢は首を振った、「女の声を聞いたのは乾だけで、私やほかの者は聞きませんでしたから」

「いや女の声が聞えたのは慥かです」と乾は挑みかかるように云った、「私はまっさきに駆けつけたんですが、引き倒すちょっとまえにも叫び声が聞えました、ほかにも慥かに聞いた者がある筈です、私は」

隼人が手をあげて遮った、「そして女はどうした、倉の中から出たようすか」

「そうではないと思います」

「中にいるのがわかっていて、そのまま倉を引き倒したのか」

「いちめんの火でどうにもなりませんでしたし、役所や長屋へ火が移りそうでしたから、ほかにどうしようもなかったのです」